2月19日(木)2025年度森林アカデミー第6回勉強会を開催

 森林アカデミー

持続可能な循環型社会をめざし、企業が森林活動を通して果たす生物多様性・脱炭素への貢献を実践的に学ぶための勉強会として「森林アカデミー」を2024年度より開催しています。

1つの地域で企業が取り組む森林再生と生物多様性の保全を体系的に学び、今後企業に開示が求められるTNFDへの対応や企業の森、自然共生サイト申請を行うことを実現して参ります。

 

第6回森林アカデミー

2月19日(木)に今年度6回目となる森林アカデミーを開催しました。20社47名の方にZOOMとのハイブリット勉強会にご参加頂きました。第6回はサントリーホールディングス株式会社サステナビリティ経営推進本部スペシャリストの市田智之氏に「「天然水の森」における生物多様性の意義」と題してご講演いただき、株式会社バイオーム 代表取締役 の藤木庄五郎氏に「DXで森林の価値を「見える化」生物多様性への取り組み」と題してご講演いただきました。

 

「「天然水の森」における生物多様性の意義」                                                              
サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部
スペシャリスト 市田 智之氏

自然と水の恵みに生かされる企業として、貴重な水資源を守ること。さまざまな企業活動を通じて社会に潤いをもたらし、社会にとっての水であること。社員一人ひとりが水のように自在にしなやかに挑戦できる会社であることを掲げている。人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命の輝き」をめざす。このサスティナビリティは創業当初からの企業理念を追求したもの。サスティナビリティビジョンとして7つのテーマで沿って行っている。水、容器・包装、気候変動、減量、健康、人権、生活文化の7つ。7つのテーマの中でも特に水、容器・包装、気候変動に注力している。

いい水がなければ製品を作ることができない。良質な地下水は生命線。良質な地下水は森で生まれる。地下水を守るために工場で汲み上げる地下水より多い水を水源涵養エリアの森で育まなければならない。2003年の熊本阿蘇からスタートし、20年以上、26か所で12,000ヘクタール、山手線内側の2倍の広さ。工場で使う2倍以上を目指して目標を達成している。「天然水の森」はサントリーの森ではない。市有林や県有林と30年の協定を結んでいる。慈善事業ではなく基幹事業である。
地下水が育まれるには、雨水を地中に保水・浸透させるスポンジの方なフカフカの土が鍵となる。フカフカの土を作るために日光が当たる明るい森にし、下草や低木が生え、土壌生物が育つ環境を作ることが重要。

R―PDCA(R:調査、P:計画、D:実行、C:検証、A:改善)のサイクルを回しながら森林と生物多様性の保全・再生を進め、特に大切にしていることが調査(R)。その調査結果を基に、適した整備を行う。その森がどんな状態か調査し、100年後どのような森にしたいかビジョンを立てる。実際の施業は基本的には地元の方にお願いしている。現場に行っていろんな方々と話をし、それを基に活動している。

シカの食害が問題となっている。トリカブト等の毒草も食べるようになる。シカに依存している小動物が減っていっている。希少な植物が生えている所は保護策をつけて守っている。これ以上、鹿を増やさないためには、過剰な餌を与えないことも重要。そのため、植樹や間伐をしたら、可能な限り柵で囲っている。柵なしで植えると、せっかく生えてきた下層植生がすべて鹿の餌になってしまい、かえって鹿を増やすことになりかねないからです。反対に、柵の外では、鹿が好まない植物で地表を被覆し、土砂流失や斜面崩壊を防いでいる。地域に合わせた植樹も行っている。病虫害対策(ナラ枯れ対策)も必要。
間伐した木材でテーブルや巣箱などに活用している。
自然共生サイトの申請、26か所のうち8か所認定を受けたなどのお話をしていただきました。

 

 

「DXで森林の価値を「見える化」生物多様性への取り組み」                                                             
株式会社バイオーム 代表取締役
藤木 庄五郎氏

生物多様性に関連したことを体験ベースにしながらお話いただきました。大学で森林生態学を学び博士号を取られて、生物多様性保全をビジネスにするということを目指して会社経営をされている。また、長いこと生物多様性に従事されてきたので、環境省の委員会に参加されている。
生物多様性の喪失として、・約100万種の生物が絶滅の危機、・大量絶滅が進行中、・過去半世紀で73%の脊椎動物種の個体群の大きさが減少、・100年で地球上の生物の50%以上が絶滅の見込となっている。

生物多様性条約COP10愛知目標(2010~2020)の目標達成は1割。生物多様性は数値化するのが難しい。生物多様性の数値化、定量化が大事である。
学生・研究者時代に生物多様性定量化技術の開発について調査していた。生物多様性の定量化するのは現地で調査が大事である。データを集めなければ話にならない。現地調査では種のカウントやサイズ測定など行っていた。衛生画像で展開し、評価し整理していた。青っぽいところは生物多少性出来ていて、まだ赤いところは劣化しているのを衛星である程度特定でき、比較ができる。比較でき、変化が見えるなど、時間変化は大事である。衛生画像を用いたリモートセンシングは有効であるが、現地のデータ(グランドトゥルース)が必須。調査するのに時間がかかり現地データ収集がボトルネックとなり効率よく生物をモニタリングする方法が必要。

COP15昆明・モントリオール生物多様性枠組(2020~2030)で世界目標が新たに設定された。30by30やOECM、TNFDなどの情報開示がされた。企業側も自分たちの領域になってきている。世界経済フォーラム「長期(10年間)の重大リスク」上位3位は環境問題となっている。1.異常気象、2.生物多様性の喪失と生態系の崩壊、3.地球システムの危機的変化となっている。機構変動や生物多様性に注目が集まってきた。2030年までに生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる。ネイチャーポジティブは地域ごとに生態系が異なり、課題も様々。

自然資本のデジタル化を通じて、保全を加速させるマーケットを創出する。スマホで生物多様性モニタリングを行い、市民にデータ収集を手伝ってもらうべく始めた。「いきものコレクションBiome」(アプリ)を制作し、生き物の写真を撮って名前を登録してコレクションしていく。120万以上のユーザーがいる。数値で評価できるベースは出来上がった。日本の生物データの大半を持っているので、これを還元し次の課題へつなげたい。どこにどんな生物がいるか推定することもできるようになった。

データの活用方法としては、TNFDの開示情報、社有林の価値評価、自然共生サイトの取得、モニター研修、森林整備、環境教育などに活用されている。また、海外でも7か国で活用されている。自治体・官公庁で80件以上、企業・団体・大学で679件活用されているなどのお話をしていただきました。

 

 

参加企業からの声

「生物多様性を取り組むにあたり、ポイントは自社の事業とどのように結びつけ、役員、従業員の理解とモチベーションに繋げるか実行性において重要と考えるが、サントリー様にとって水の確保はマテリアリティであることがとてもよく理解できた。」「森林を守り育て共生していくための具体的な取り組みを知ることができ、想像を超える領域の広さに同じ飲料メーカーとして学びと刺激を頂きました。行政をも巻き込む取り組みの数々は1メーカーの域を超えており、森林保護をリードする推進力が大変学びとなりました。」「森林の価値を「見える化」するという観点からのお話は大変興味深く、新たな視点をいただきました。」「DXによる現地調査の効率化という生物多様性へのアプローチは、豊富な現地での経験を持つ藤木様ならではの視点であり興味深いものでした。Biomeアプリは老若男女楽しめる者であると感じますし、旅先等で積極的に利用させていただきます。」と参加者からは大変勉強になったとの感想をいただきました。

 

2026年度 森林アカデミー                                                   

次回は2026年4月23日(木)を予定しております。

ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご参加の程お待ちしております。

 

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