12月18日(木)2025年度森林アカデミー第5回勉強会を開催
森林アカデミー
持続可能な循環型社会をめざし、企業が森林活動を通して果たす生物多様性・脱炭素への貢献を実践的に学ぶための勉強会として「森林アカデミー」を2024年度より開催しています。
1つの地域で企業が取り組む森林再生と生物多様性の保全を体系的に学び、今後企業に開示が求められるTNFDへの対応や企業の森、自然共生サイト申請を行うことを実現して参ります。
第5回森林アカデミー
12月18日(木)に今年度5回目となる森林アカデミーを開催しました。19社43名の方にZOOMとのハイブリット勉強会にご参加頂きました。第5回は愛知県農林基盤局森林保全課あいち海上の森センターの高橋克巳氏に「「海上の森」と「海上の森センター」の取り組み」と題してご講演いただき、環境省自然環境計画課地域ネイチャーポジティブ推進室OECM推進係長の吉田宗史氏に「自然共生サイト支援証明書について」と題してご講演いただきました。
- 「「海上の森」と「海上の森センター」の取り組み」
愛知県農林基盤局森林保全課 あいち海上の森センター
高橋 克巳氏
瀬戸市はせとのもの町で、せとものを焼くために木を切って使っていたためはげ山となってしまった。そのため土石流なども起こっていた。そのまま木を植えても雨で流れてしまったため、段差を作り植えていた。当時はショベルカーなど重機などなく手作業で行っていた(1907年頃)。その後40年後まだ白いところは残るがだいぶ森が戻っている。70年後は明治時代と同じぐらいに森が戻っている。1990年初頭、愛知万博の候補地となり、跡地は宅地開発となり森に戻さない(大きな反対運動があった)となったが、1999年にオオタカの営巣確認ができ、2000年にメイン会場の変更と宅地開発事業の中止となり、森は残された。海上の森の紹介もしたかったため、一部サテライト会場とした。このような経緯があったため、海上の森は非常に環境意識の高い人々に支えられる森となった。2006年に海上の森はオープンし、現在は1970代よりも森が深くなっている。条例を作り、保全活動計画を作り10年更新で行っている。来年度からの10年の計画を練っている。環境に対するSDGsの取り組みとして、自然環境の保全(15番)は委託調査や森林のモニタリングなど、森林の整備(6番・15番)は草刈や人工林整備など、農地の整備(15番)は耕作物の管理や農地周辺の水路などの整備をボランティアと一緒に行っている。また、人に対するSDGsの取り組み(4番)として、体験学習の実施として森と里の教室やキッズアカデミーなど、人材の養成として海上の森アカデミーとして実施研修(森女養成コースが人気)など、普及・情報発信として定期刊行物の発送やホームページなどでの情報発信など、協働・連携の推進として色んな企業との連携をしている。海上の森の課題として生物多様性の価値の認知(地味な種は一般的に知られていないのでどのように認知してもらうか、また囲うとマニアに盗掘されてしまう)、常緑広葉樹が多く暗い森化(広葉樹が多すぎて陽が当たらず、下にある植物の成長を妨げたり、それを食する動物も減る)のため生物多様性の低下の恐れがある、森林化などによる湿地の衰退・消滅(湿地はあるがそこに木が生えてくると湿地が減りなくなりそこに住む動植物にも営業がでる)、人工林の整備遅れ(広いため手が行き届かず遅れている)などがあり、県の予算や協働組織の活動だけでは限界がある。
2024年9月に自然共生サイトに申請し、2025年9月に認定された。自然共生サイトに認定されると上記で課題としていた利用者増により認知度が向上したり、県民の保全意識の向上により盗掘や不法投棄が減り、マッチングサイト利用により支援企業が増え森林整備や耕地管理の規模拡大が見込まれメリットもある。活動企業にとってもマッチングサイトでの利用で希望に沿った活動場所の検索や相談、自然共生サイトの支援として自然資本への配慮をみえる化や企業価値の向上・社員の環境意識向上などメリットがある。
自然共生サイトの認定基準で生物多様性の価値に関する基準が差別化できる。以下が認定基準の中で認められた内容ではないかと思われる。場:(1)公的機関等に生物多様性の重要性が既に認められている(生物多様性保全上重要な里地里山・生物多様性の観点から重要性の高い湿地・重要生態系監視地域モニタリング推進事業・愛知県自然環境保全地域)、種:(6)希少な動植物種が生息生育している場又は生息生育している可能性が高い(本サイトは、広葉樹の二次林やアカマツ林、スギ・ヒノキの人工林などの森林や田畑、湿地(貧栄養湿地)、池、河川などがモザイク状に分布している。多様な自然環境があるため、 様々な動植物が生息生育 しており、各種調査により希少な動植物種が確認されている。)、機能:(9):(9)既存の保護地域又は認定区域に隣接する若しくはそれらを接続するなど、緩衝機能や連結性を高める機能を有する(本サイト東部の一部は愛知高原国定公園に指定されている。愛知高原国定公園は、本サイト東側の豊田市、北側の瀬戸市北部や春日井市まで広がっており、本サイトを含め、自然環境の連続性を高める機能 を有した場となっている。これからも特別なことをするのではなく、今までやってきたことを継続していく。企業活動として業務委託している企業に林業会社へ間伐の委託をしてもらい、その一部を買い取りしてもらうことで足りない予算を賄うことができ、本格的に森林整備が進む。今後の展望として、①民・学・官協働による持続可能な森づくり、②自然共生サイト認定を「企業連携の加速装置」と位置づけ、整備・保全の拡充、③湿地保全・希少種保全・広葉樹林への企業連携活動の拡大、④「ネイチャーポジティブ」な企業活動の場として海上の森の活用していただけたらなどのお話をしていただきました。

- 「自然共生サイト支援証明書について」
環境省自然環境計画課 地域ネイチャーポジティブ推進室
環境省自然環境計画課 地域ネイチャーポジティブ推進室
2030年ミッションの生物多様性の損失を止めを反転させる、昆明・モントリオール生物多様性枠組内で記載されており、ネイチャーポジティブと呼んで世界で達成しまければいけない目標として取り組んでいる。ネイチャーポジティブがなぜ大事か、自然資本が社会資本や人的資本の基盤となっており、それ自体が社会経済に密接に関係してくる。2023~2030の日本としての目標を掲げた生物多様性国家戦略にネイチャーポジティブ実現に向け、5つの基本戦略を掲げており、自然共生サイトとの密接な関係がある。ネイチャーポジティブ実現のために重要なこととして、2030年までに陸と海の30%以上を保全する新たな世界目標(30by30)としており、日本は現状、陸域21.0%、海域の13.3%をカバーしている。OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する地域)として登録できるのは自然共生サイトのみとなる。民間等の活動によって生物多様性の保全が図られている区域(森林、里地里山、都市の緑地、沿岸域等)を「自然共生サイト」として認定している。ネイチャーポジティブに向けた民間等の活動をさらに促進するため、「地域における生物の多様性の増進のための活動の促進等に関する法律(地域生物多様性増進法)」を本年4月1日に施行し、本年9月以降、法に基づく認定するしくみへ強化した。自然共生サイトの認定例として森林・里地里山・都市の緑地・沿岸域をご紹介いただきました。
自然共生サイト等に対する民間支援の促進について、認定された後の取り組みが重要なので、認定促進や認定後の管理の継続・質の向上等のためには、保全活動を実施する主体への経済的・人的支援等が重要で、支援を必要とする「自然共生サイト」等とそれらの活動への支援を希望する方(企業等)との支援マッチング促進を行っている。支援を行う方に対するインセンティブ措置として「自然共生サイトに係る支援証明書」制度を構築。令和7年度から本格運用を開始。需要と供給がそぐわない。マッチングイベントなども行われている。支援証明書制度の概要として。①自然共生サイトの質の維持・向上に資する支援をした企業等で、申請条件を満たした場合、環境省に「支援証明書」発行の申請ができる。②自然共生サイトの認定を目指す土地を保有しない企業も、ネイチャーポジティブに貢献する取組の実績を公的に証明することができる。支援証明書申請条件と主な注意事項にのっとって申請を行う。支援証明書は、企業が自然への依存・影響やリスク・機会に対して、どのような活動を行っているかロジックモデルを用いて論理的かつ具体的に整理することができるツール。TNFD情報開示の根拠としても活用できるよう、TNFD開示提言で示される自社と自然資本との関わりを分析するにあたり必要な考え方に沿うよう、投資家の意見も踏まえながら設計している。支援証明書の発行事例についてもご紹介いただきました。支援証明書の証明範囲は①インプットの事実 ②アクティビティに活用された/されることの事実。地域生物多様性増進法に基づく活動計画は、アウトプット・アウトカムを見据えた活動内容を記載することを見込んでいる。そのため、支援証明書は、上記①、②が当該活動計画に沿うものであることを確認することで、まだ支援に伴う実績が出ていない中であっても、インプットがアウトプット・アウトカムにつながることの確からしさをある程度担保できると考えている。生物多様性見える化システムの構築についても情報共有いただきました。自然共生サイトに認定されると、①30by30目標達成に貢献する、②社会的な発信ができる(主に企業)、③活動に対する支援を受けやすくする、④広告効果、ネットワーク形成ができる等のお話をしていただきました。

参加企業からの声
「クレジットの活用方法視点でお聞きし、新たな気づきがあり、社内での活用方法模索の指示を出しました。」「分かっているようで曖昧であったJクレジット周りの知識を体系立ってご説明頂け、非常に理解が進みました。今後の脱炭素戦略に活かしたいと思います。」「ネイチャーポジティブという言葉については、何となく意味を知っている程度でしたが、その概念が生まれた背景やそれに向けた取組、推し進めている方々がどのような考えを持っているかといったところを学ぶことができました。」「自然保護と自然エネルギーがどう共存できるか(すべきか)について、改めて考える良い機会になりました。」と参加者からは大変勉強になったとの感想をいただきました。
- 2025年度 森林アカデミー
次回は2026年2月を予定しております。
ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご参加の程お待ちしております。
- 2026年1月9日
- カテゴリー: イベント・ボランティア報告, 事業活動報告, 森林再生事業
- タグ: セミナー








