6月23日(火)2026年度森林アカデミー第2回勉強会を開催
森林アカデミー
持続可能な循環型社会をめざし、企業が森林活動を通して果たす生物多様性・脱炭素への貢献を実践的に学ぶための勉強会として「森林アカデミー」を2024年度より開催しています。
1つの地域で企業が取り組む森林再生と生物多様性の保全を体系的に学び、今後企業に開示が求められるTNFDへの対応や企業の森、自然共生サイト申請を行うことを実現して参ります。
第2回森林アカデミー
6月23日(木)に今年度2回目となる森林アカデミーを開催しました。14社33名の方にZOOMとのハイブリット勉強会にご参加頂きました。第2回は株式会社地域環境計画の松岡和樹氏に「生物多様性増進活動がつなぐ人と地域の未来 ~北海道の自然から見えてきたネイチャーポジティブ~」についてご講演いただき、有限会社ウッズの能口秀一氏に「森林の生物多様性と企業の関わり方 ネイチャーポジティブな木材流通と地域・企業をつなぐ新たなエコシステム」についてご講演いただきました。
- 「生物多様性増進活動がつなぐ人と地域の未来 ~北海道の自然から見えてきたネイチャーポジティブ~」
株式会社地域環境計画
北海道支社 生物多様性推進室室長 松岡 和樹氏
北海道の自然から見えてきたネイチャーポジティブについてお話していただきました。
森の中でシカの影響が出ていて、林床(樹林の中の床の部分)が土化や土壌が丸出しになっている。草がないと虫もいなくなる。特定の虫しかいなくなるとそれを食べる鳥や哺乳類にても影響が出てくる。大きく生物多様性が崩れ始めており、危機感を感じる。シカに限らずクマ、タヌキ、アライグマなどの哺乳類の増加。北海道の希少種でアカモズ、シマアオジが減少している。原因は一番目は北海道の何かしらの原因が考えられるが、二番目は移動距離が長いので国外で起こっている何かが原因とも考えられる。シマアオジは越冬地で乱獲され個体数が減っているため北海道の環境を整えても効果はそれほどない可能性がある。厳冬期が暖かく2℃ぐらい上がっていて、雪が減ったり雨が降ったりしている。また、人と野生生物の距離感が遠くなっている。生き物の存在を感じることができないまま、自然を守ろうとしている。
なぜ保全活動が難しいのか、「保全」いう言葉の受け止め方の違いが生じる。自然保護を伝える側は、自然の価値を守りたい・生物多様性を保全したい・将来の世代に残したいと思っているが、受け取る側は、活動が制限されるのでは?・コストや手間が増えるのでは?・地域や産業に不利益では?と受け取ってしまう。難しさの本質は伝え方にあるので、自然保護を伝える側は、企業や地域の立場になり、受け取る側も自然の立場になって考えることにより、理解しあうことができ保全活動が前へ進む。この理解が自然共生サイト等の協働へつながる。
生物多様性増進活動とは、自然保護活動ではなく、人と自然が対立するのではなく、つながり直し、豊かな自然の恵みを未来へ引き継ぐための活動。活動のポイントは・自然の価値を理解し、行動につなげる・多様な主体がつながり協力して取り組む・自然の恵みを未来へ循環させる、守るから活かすへ考えをシフトする。
調査を行っているワタミの美幌峠牧場の価値循環について説明いただきました。この環境が生みだす価値は・自然の価値向上、産業・地域経済の活性化、教育・人材育成、地域の誇り・ブランド志向となる。シマフクロウが住める自然をつくることで、地域の価値が高まり、その価値が再び自然に還元される環境が生まれるなどのお話をいただきました。

- 「森林の生物多様性と企業の関わり方 ネイチャーポジティブな木材流通と地域・企業をつなぐ新たなエコシステム」
有限会社ウッズ
取締役 能口 秀一氏
地域で取り組んでいる同業者、林業事業体、森林組合では主に木質バイオマス燃料利用がほとんどである。皆伐再造林として燃料利用として低価格の木材を主流に流通量が増えてきたため、資源の利用循環が行われている。木材の品質にこだわることではなく、量をを求める林業で、地域性である。丹波市は製材を製品にして都市部へ供給する地域。森林には豊かな資源があるが、所有者にとっては木材価格の低迷と管理負担があり、「負の遺産」となっている。手入れの行き届かない人工林の増加が、生態系の劣化と土砂災害のリスクを招いている。大量生産型から生物多様性保全型へ移行し、生物多様性の保全と木材活用の両立を目的としている。令和7年度顔の見える木材提供体制構築事業に丹波市木材林産協同組合として採択され、1.森林所有者の意識構成、2.ネイチャーポジティブな流通、3.ローカルサプライチェーンの構築を行った。所有者が主役になる「対話のプラットフォーム」を提供する。
第1段階として最新技術と人の手による「森の診断」を行う。第2段階として「選木基準」と環境保全型施業を行う。第3段階として統合データ管理「森林カルテ」の構築を行う。生態系調査、木材利用可能性調査を行い、地域の森林管理ビジョンの精緻化を図る。第4段階として「丹波材」としてのブランド化と追跡可能性を行う。
所有者の「心の負担」を「誇り」に変えるように、明確なデータと専門家の伴走による安心感と地域貢献への自己肯定感となるように。
森林の生態系の調査をした上で、林業の計画を立てる。所有者の方の森をどういかしていいかわからない方へ、説明した上で山へ収益を還元していきたい。
企業へも調査をもとにした計画やモニタリングなどをして木材を生産していく。所有者の意志がどのような森づくりをしたいかを一緒に考えられるような木材の利用ができるといいとのお話をいただきました。

参加企業からの声
「「価値の循環」の絵が非常に分かりやすく、活動のビジョンが見えやすかった。」「生物の多様性や生態系について深く考えられるお話だと感じました。」「森林と人との関わり、森林保全の大切さを教えられる素晴らしい講演でした。」「企業が森林に関わるにあたり、生物多様性の保全と経済活動を両立させる素晴らしい事例として勉強になりました。」と参加者からは大変勉強になったとの感想をいただきました。
- 2026年度 森林アカデミー
次回は2026年8月20日(木)を予定しております。
ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご参加の程お待ちしております。
- 2026年8月14日
- カテゴリー: イベント・ボランティア報告, 事業活動報告, 森林再生事業
- タグ: セミナー








