4月23日(木)2026年度森林アカデミー第1回勉強会を開催
森林アカデミー
持続可能な循環型社会をめざし、企業が森林活動を通して果たす生物多様性・脱炭素への貢献を実践的に学ぶための勉強会として「森林アカデミー」を2024年度より開催しています。
1つの地域で企業が取り組む森林再生と生物多様性の保全を体系的に学び、今後企業に開示が求められるTNFDへの対応や企業の森、自然共生サイト申請を行うことを実現して参ります。
第1回森林アカデミー
4月23日(木)に今年度1回目となる森林アカデミーを開催しました。20社51名の方にZOOMとのハイブリット勉強会にご参加頂きました。第1回は弊財団の顧問であり株式会社モリアゲの代表取締役である長野麻子氏に「企業がなぜ森に関わるのか」についてご講演いただき、株式会社ウェイストボックスの山森明日葉氏に「森林に関わる取組みを通した TNFD の情報開示」についてご講演いただき、ワタミ株式会社の山﨑輝氏に「自然資本の情報開示と企業の実践例」についてご講演いただきました。
- 「企業がなぜ今、森に関わるのか」
SEF顧問
株式会社モリアゲ 代表取締役 長野 麻子ス氏
自然と水の恵みに生かされる企業として、貴重な水資源を守ること。さまざまな企業活動を通じて社会に潤いをもたらし、社会にとっての水であること。社員一人ひとりが水のように自在にしなやかに挑戦できる会社であることを掲げている。人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、「人間の生命の輝き」をめざす。このサスティナビリティは創業当初からの企業理念を追求したもの。サスティナビリティビジョンとして7つのテーマで沿って行っている。水、容器・包装、気候変動、減量、健康、人権、生活文化の7つ。7つのテーマの中でも特に水、容器・包装、気候変動に注力している。
いい水がなければ製品を作ることができない。良質な地下水は生命線。良質な地下水は森で生まれる。地下水を守るために工場で汲み上げる地下水より多い水を水源涵養エリアの森で育まなければならない。2003年の熊本阿蘇からスタートし、20年以上、26か所で12,000ヘクタール、山手線内側の2倍の広さ。工場で使う2倍以上を目指して目標を達成している。「天然水の森」はサントリーの森ではない。市有林や県有林と30年の協定を結んでいる。慈善事業ではなく基幹事業である。
地下水が育まれるには、雨水を地中に保水・浸透させるスポンジの方なフカフカの土が鍵となる。フカフカの土を作るために日光が当たる明るい森にし、下草や低木が生え、土壌生物が育つ環境を作ることが重要。
R―PDCA(R:調査、P:計画、D:実行、C:検証、A:改善)のサイクルを回しながら森林と生物多様性の保全・再生を進め、特に大切にしていることが調査(R)。その調査結果を基に、適した整備を行う。その森がどんな状態か調査し、100年後どのような森にしたいかビジョンを立てる。実際の施業は基本的には地元の方にお願いしている。現場に行っていろんな方々と話をし、それを基に活動している。
シカの食害が問題となっている。トリカブト等の毒草も食べるようになる。シカに依存している小動物が減っていっている。希少な植物が生えている所は保護策をつけて守っている。これ以上、鹿を増やさないためには、過剰な餌を与えないことも重要。そのため、植樹や間伐をしたら、可能な限り柵で囲っている。柵なしで植えると、せっかく生えてきた下層植生がすべて鹿の餌になってしまい、かえって鹿を増やすことになりかねないからです。反対に、柵の外では、鹿が好まない植物で地表を被覆し、土砂流失や斜面崩壊を防いでいる。地域に合わせた植樹も行っている。病虫害対策(ナラ枯れ対策)も必要。
間伐した木材でテーブルや巣箱などに活用している。
自然共生サイトの申請、26か所のうち8か所認定を受けたなどのお話をしていただきました。
日本の森について、人工林は明治以降スギやヒノキをたくさん植えていたがその整備が行き届いていない。それを使い花粉の少ない樹種や広葉樹などを植えていくことも必要。これだけ木があるのに使われていない。6割は世界の木を使っていて日本の木は使われていないのが課題である。なぜ国産材の受給率が下がった理由は、戦後に木を植え高度成長期で木が必要な時に育っていなかったため、輸入材を使っていた。輸入材のサプライチェーンが出来上がっているのでこれを国産材のサプライチェーンへ切り替えていく。国産材の価格が下がっているため、お手入れがされず土砂の流出や水源の確保も難しくなる。里山林も放置されており、倒木の危険や野生動物の被害など増えている。山村地域で森の手入れをしてきたが高齢化により難しくなってきた。企業が関わり手入れをしていくのが私たちの役割。
経済は自然資本に依存しており、自然資本が持続可能でなければビジネスにも影響をおよぼす。森を維持していることで価値がある。森を循環利用するとカーボンニュートラル目標に一役立てる。10万トンいじょうのCO2を排出する企業等は排出権取引が義務となってきている。自分たちで減られない部分はクレジットを使って減らすことも必要。28年からは化石燃料付加金も導入される。カーボンを少なくするかが重要となる。生物多様性も2030年までに損失を止め回復軌道に乗せることが目標となっているなどを、事例を交えてご紹介いただきました。
- 「森林に関わる取組みを通した TNFD の情報開示」
株式会社ウェイストボックス
山森 明日葉氏氏
TNFDは自然資本全体に関する情報開示をいい、企業と金融機関が自然関連課題を開示するための枠組み。最終的な目的は企業の情報開示を通して資金の流れをネイチャーポジティブへ変えること。このような取組が求められるようになってきたのは、急速に自然資本背物多様性が地球規模で失われているため。昆明・モントリオール生物多様性枠組の2030年ミッションではネイチャーポジティブが掲げられており、実現するための23の世界行動目標が設定されている。その中の15番「ビジネスの影響評価・開示」がTNFDの目標に位置づけられている。国際的な目標を受けて、日本でも生物多様性国家戦略が2023年制定された。ネイチャーポジティブ実現に向けた5つの基本戦略があり、その中にネイチャーポジティブ経済の実現が位置づけされている。ネイチャーポジティブの取組は企業にとって単なるコストアップではなく、新たな経済成長につながる。企業がリスクと機会を把握し、それを踏まえたアクションが価値として評価される。TNFDをやっているとその結果を活用することができる。TNFDを単なる情報開示のためではなく、企業価値向上につなげるツールとして活用すると取組意義が感じやすい。
森に関わっていることをTNFDで開示すれば企業価値向上につながるが、分析と説明が必要である。TNFD開示から投資家(読み手)が知りたいことは企業の事業活動による自然関連のリスクと機会がどの程度財務に影響を及ぼすか、対応はされているか、今後する予定があるか等の情報を求めている。その企業の森林保全の取組だけを開示するのではTNFD開示としては不十分。TNFDではTCFD同様「ガバナンス・戦略・リスクとインパクトの管理・指標と目標」の4つのカテゴリ開示が求められている。自然の影響は橋にすごく影響を受けるため、場所の特定がTNFDでは重視されている。バリューチェーン全体で評価をすることが重要。リスクと機会の特定にはリープアプローチ法(4段階のステップ)を用いる。企業は事業活動を通して、自然資本に依存しインパクトを与えている。自然資本への依存、インパクトからリスク、機会が生じる。森林活動の結果、森林の多面的機能のどこが向上し、事業活動にとってどんなプラスのインパクトを与えているか、そこからどんな機械が生まれるかを理解する。TNFDを開示している事例をいくつかご紹介いただきました。

- 「自然資本の情報開示と企業の実践例」
ワタミ株式会社
山﨑 輝氏
食品関連事業者であるワタミグループは豊かな森林・水・土壌という「自然資本」の恵みなくしては成立しない。「自然資本」とは何かを学ぶために、全事業部長、各事業のサステナビリティ担当に勉強会とワークショップを実施した。「昆明・モントリオール生物多様性枠組み」の23のターゲットのうち、どこに影響があり、機会につながっているかを評価した。各事業部の取りまとめを行ったものをLEAPアプローチシートへ落とし込みした。TNFD情報開示は2年に渡り行っており、2024年度は有機農業分野で評価を実施、2025年度は仕入調達、食品製造、外食、宅食の評価を実施した。本部長の意識も変わり、農場や森林に部下を連れて参加するなどで自然資本の大切さや自分事となった。また、三井住友信託銀行と融資契約を外食企業として初めて終結した。

参加企業からの声
「自然資本と経済活動は両立しないという点がとてもわかりやすかったです。」「TNFD開示について詳細をお聞きさせていただきました。当社はTNFD開示についてまだまだ進んでいない状況です。LEAP手段等、資料等では見たことがありますが、今回のお話で少し理解が深まりました。」と参加者からは大変勉強になったとの感想をいただきました。
その後事務局より、次回の森林アカデミーでは、日向の森実地研修のご案内を行いました。
- 2026年度 森林アカデミー
次回は2026年6月18日(木)を予定しております。
ご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
ご参加の程お待ちしております。
- 2026年8月14日
- カテゴリー: イベント・ボランティア報告, 事業活動報告, 森林再生事業
- タグ: セミナー








