資源循環事業

資源循環事業イメージ

事業の目的と概要

排出事業者と廃棄物処理・再生利用事業者との連携により適正な資源管理を実現し、更に生産者や行政、消費者への働きかけを行いながら、循環型社会の構築を目指す事業です。

1.普及啓発

セミナー、研修、体験活動などにより、事業者、行政、一般市民に向け、広く社会に対して資源循環の重要性を啓発します。

2.資源管理適正化支援

排出事業者と処理事業者の双方に働きかけ、廃棄物処理の適正化を支援しながら、参加事業者の資源循環への取組みを促進し、リサイクル率の向上に貢献します。

3.調査研究

事業の推進により集約される廃棄物、循環資源に関する情報やネットワークを活用し、新たな資源循環システムの開発や、政策提言に繋げるための分析・調査・研究を行います。

食品リサイクルの現状と課題

食品産業における食品リサイクルの現状

食品廃棄物は食品の製造・加工・流通・消費それぞれの段階で発生し、食品産業全体では、農林水産省が発表した平成29年度実績で1,767万トン発生しています。

食品廃棄物のリサイクルについては、「食品廃棄物等の再生利用並びに発生抑制及び減量化による最終処分量等の削減や、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用等を促進すること」を目的に、平成13年5月に「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(以下、食品リサイクル法)が施行されています。

食品リサイクル法の施行後、食品関連事業者等の努力により、平成13年には37%だった食品産業全体でのリサイクル率(再生利用等実施率)は、平成29年度実績で84%まで向上しています。

           出典:農林水産省(図をクリックすると大きく表示されます)

しかしその内訳を業種別にみると、食品製造業は95%と高い水準で再生利用等が進められていますが、食品小売業で51%、外食産業では32%と、依然として低い水準にとどまってしまっています。

これは、消費者に近くなる業種ほど、多種多様な食品廃棄物が日々少量ずつ分散して発生するため、分別の困難さや収集運搬の非効率さなど、再生利用等の実施のために食品関連事業者に掛かる負担が大きくなってしまうことが主要因であると考えられています。

さらに排出現場では、食品廃棄物だけではなく様々な廃棄物が発生します。排出事業者は全ての廃棄物について、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図る目的で制定されている「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃掃法)に則った処理を要求されることから、その管理に多くの手間やコストが割かれ、その結果として食品リサイクルへの取組みが後回しになってしまっている現状もあります。

適正管理の実現から再生利用へ

私たちはこれまで「有機質資源再生センター」として、特に食品小売業や外食産業における食品廃棄物等の有機質資源のリサイクル促進を目的に掲げ、活動してきました。

そのなかで、食品小売業・外食産業の食品リサイクル率を高めるためには、その他の廃棄物の処理に関する手間やコストも含めた廃棄物管理の観点で、排出事業者に掛かる負担を最小限にとどめながら、再生利用等の実施を可能にするための工夫が必要であるという結論に至りました。

そこで私たちは、これらの課題を解決し、食品産業全体の食品リサイクル率を更に高めるため、「廃棄物の適正管理」と「再生利用等の促進」を両立することができる仕組みの開発に取り組んでいます。

                法令に基づく適正処理からリサイクル推進へ

我が国全体の食品廃棄物の状況

食品廃棄物は、食品産業から発生するものだけではありません。私たちが生活する中で必ず発生する「生ゴミ」。これも食品廃棄物です。農林水産省では毎年、食品産業における食品廃棄物等の排出量調査とともに、一般家庭から排出される家庭系食品廃棄物の排出量の推計も行っています。

              出典:環境省(図をクリックすると大きく表示されます)

平成29年度の推計では、事業者から排出される1,767万トンの食品廃棄物等のうち、最終的に焼却・埋立処分されたものは329万トンで、廃棄物等全体の約18.6%にとどまっているのに対し、家庭から排出される生ゴミは783万トン、そしてそのほとんどである726万トンが焼却・埋立されているのが現状です。家庭から排出される生ゴミは、そのわずか7.3%しか再生利用することができていません。

我が国全体の食品リサイクルを考えるうえで、家庭から排出される生ゴミの存在を無視することは出来ません。しかしその対象は一般市民であり、事業者に対する食品リサイクル法のように規制をかけることは現段階では困難です。そこで、私たち市民一人ひとりが食品廃棄物の現状を知り、自分にできることは何かを考え、実際に行動することが大切です。

私たちの取組み

資源管理適正化支援システム『SEF-Net』の開発・提供

私たちは2015年度より、排出事業者と廃棄物処理業者、そして排出事業者の廃棄物管理業務を受託している管理サポート会社を対象としたASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスの、資源管理適正化支援システム『SEF-Net』を開発、2015年度より提供を開始しています。

SEF-Netは、廃棄物処理を委託する場合に発生する毎月の請求支払業務、マニフェストの管理、許可証や契約書の管理、情報共有など、廃掃法を遵守し適正に廃棄物を管理するために必要な業務を効率化する機能を搭載。さらに、利用者の拡大により蓄積できる廃棄物に関するデータを”ビッグデータ”として分析・提供し、各地域での食品リサイクルの推進に繋げます。

普及啓発

食品リサイクルの推進、資源循環の重要性を広く社会に啓発するための様々な活動を行っています。

ゼロエミッション研究会

SEFでは2017年度より、排出事業者主体による廃棄物・資源循環に関する課題の解決をめざし、「ゼロエミッション研究会」と題した勉強会・見学会を開催し、多くの方にご参加いただいています。

2019年度は「実践で学ぶ!持続可能な食リループのつくり方 ~仕組みづくりから認定取得まで~」と題し、外食事業者の皆様を対象に、持続可能な食品リサイクルループの構築に関する知識やノウハウを学びながら、愛知県名古屋市を舞台に、再生利用事業計画の認定を受けて食品リサイクルループを開始することをゴールとした取組みを推進しました。

今後も毎年度テーマを決め、排出事業者が抱える廃棄物・資源循環の課題解決の場と機会を提供していきます。


調査研究

食品リサイクル、資源循環の更なる推進に向けて、様々な調査研究を行っています。

平成25~27年度 農林水産省生産局 エコフィード増産対策事業

私たちは平成25年から3年間、飼料自給率向上を目的として食品残さ由来飼料『エコフィード』の増産を目指す、農林水産省生産局「エコフィード増産対策事業」のうちの、「食品残さ等飼料化分別普及体制構築事業」の実施主体に選定され、事業を推進しています。

この事業では、食品産業、とりわけ飼料化が進めにくい小売・外食事業者の飼料化への取組みを促進するため、飼料化のための分別方法の普及と新たな分別・流通手法の検討・検証を行っています。

平成26年度の取組みでは、食品関連事業者の担当者向けに、飼料化に関する基礎知識をまとめた「食品関連事業者向け飼料化のための分別マニュアル」を完成させ、平成27年度はその次のステップとして、現場向けパンフレットと分別マニュアル用パーツ・ツール集の作成を行いました。

平成27年度 東京都「持続可能な資源利用」に向けたモデル事業

私たちは平成27年度、東京都が同年3月に策定した『東京都「持続可能な資源利用」に向けた取組方針』を具体化するために公募したモデル事業に、「廃棄物の循環利用の更なる促進」をテーマとした事業を応募し、採択されました。

この事業は「廃棄物の見える化の推進による事業者や市民を巻き込んだ資源循環型都市と静脈物流の効率化による低炭素都市の実現」と題し、平成28年3月までの予定で、廃棄物の排出現場での分別計量システムと、私たちが開発している資源管理適正化支援システムSEF-Netを連動させ、再資源化が可能な廃棄物がどこでどの程度発生しているのかをデータとして見える化することにより、地域での資源循環を推進するための仕組みづくりについて検討し、報告書を取りまとめました。今後、事業の本格化に向けて準備を進めて参ります。

jigyo

事業内容要約図

 

 

このページの上部へ