「飼料化」実践実例

CASE4
帰り便の利用とセンターでの一括管理で、
効率化なリバース物流体制を構築
食品小売業 A社

配送車両の帰り便を利用したリバース物流とリサイクル・ループ

北関東を中心として100店舗以上の食品スーパーを展開するA社では、千葉県と茨城県の一 部店舗でリバース物流によって食品廃棄物を回収。作られた飼料による豚肉商品を販売するリサイクル・ループを実現している。

この取り組みはA社の各店舗に商品を配送しているB社が、配送車両の帰り便を活用して請け負っている。B社の千葉県印西市にある物流センターが基点となり、商品配送先の各店舗で発生した食品廃棄物を配送車両が回収してセンターに持ち帰る。センター内の保管施設にまとめられた食品廃棄物は再生利用事業者C社の工場へ移送されて、飼料化される。C社の養豚農場でこの飼料を与えられて育った豚が、最終的に豚肉商品としてA社店舗にて販売されている。

A社のリバース物流を使った食品リサイクルループ

すべての管理をセンターに集約

各店舗から出される食品廃棄物は、野菜くずや調理くず、期限切れ商品などで、1日に70~100kgにのぼる。これを各店舗では回収ボックスで保管。回収ボックスには容器や袋に入ったものもそのまま入れられるため、各店舗で容器から取り出す手間がなく、従業員の労力が大幅に軽減されている。また、配送車両1台につき1店舗という配送態勢が取られており、商品を配送した車両の「帰り便のみ」が食品廃棄物を持ち帰っているので、商品と食品廃棄物を混載することなく回収できている。

センターに回収された食品廃棄物は、当日中にC社工場に移送される。センターの保管施設は毎日オゾン水で洗浄されており、衛生面での維持が図られている。また、トラック荷台や店舗の回収ボックスもセンターの保管施設でオゾン水で洗浄される。センターにすべての管理を集約させることで、衛生面への完全な配慮と効率化を実現している。

この事例の評価ポイント

・配送車両の戻り便を使うことで新たに専用の回収車両を走らせる必要がなく、コスト削減に努められる。また、CO2の削減の観点からも有効である。

・物流センターで飼料化に向く食品廃棄物のみを集約することで、再生利用事業者への輸送の効率化も図れている。

・再生利用事業計画の認定を受けたり保健所への確認を取ったりすることで、コンプライアンス上の課題や食品衛生上のリスク対策に配慮しながら進めている。

導入を目指す事業者へのアドバイス

・再生利用事業計画の認定を受けることで廃棄物処理法上の特例措置が認められ、収集運搬が効率的に行える。食品リサイクルループの構築を検討しましょう。

・配送車両を用いて食品廃棄物の収集に取り組む場合には、食品衛生上の観点からも検討することが必要。

農林水産省生産局

平成27年度エコフィード増産対策事業
食品残さ等飼料化分別普及体制構築事業