「飼料化」実践実例

CASE6
食品廃棄物の自己回収・自己リサイクル体制を、
全国に先駆けて確立
みやぎ生活協同組合

全国の生協に先駆けて、自ら回収・飼料化の仕組みを構築

リサイクルセンター

みやぎ生活協同組合(以下、みやぎ生協)は店舗から発生する食品廃棄物を回収して液状飼料化し、その飼料で豚を育てる仕組みを構築。自らの廃棄物を自ら回収、リサイクルまで行う先駆者的存在であり、この取り組みで2014年に一般社団法人日本有機資源協会主催の「第2回食品産業もったいない大賞」で「食料産業局長賞」を受賞した。

液状飼料製造機

みやぎ生協では各店舗から排出される野菜・果物くずのほか、ダンボールや古紙、廃プラスチックなどさまざまな廃棄物を再資源することを目的に、2006年にリサイクルセンターを開設。県内の全店舗から回収した野菜・果物くずを乾燥して堆肥にする再資源化を開始した。2014年10月からは液状飼料化(エコフィールド化)に変更。2015年4月以降、野菜・果物くずに加え、惣菜やベーカリーの売れ残りについても徐々に店舗数を増やしながら回収・処理を行っており、月間約100トンの液状飼料を出荷するに至っている。液状飼料は県内の養豚場で利用されており、この豚肉をみやぎ生協店舗で販売するリサイクル・ループの構築についても模索中だ。

センターでの一括分別で現場での負担軽減

みやぎ生協の各店舗では売り場ごとに廃棄物をゴミ庫に保管。センターの配送車両が、食品廃棄物やダンボール、紙類、発泡スチロール、卵パックや牛乳パックなど店頭回収資源物といった廃棄物の種類ごとに毎日、回収している。

食品廃棄物にはセンターとは別ルートで再資源化を行っている精肉・鮮魚を除き、野菜・果物くず、惣菜やベーカリーの売れ残り、販売不可商品など、さまざまなものが含まれる。それらを飼料化に向くものと向かないものに現場で区分していくのは難しい。店舗従業員の入れ替わりの多さなどを考慮した結果、各店舗には「食べられるものはすべて入れる」という判断基準で廃棄を行わせるようにし、包装されているものもそのまま回収。センターですべて区分している。これによって各店舗の負担が大幅に削減されているとともに、飼料化に不向きなものをセンターで一括して除去することで、飼料の材料の品質・安全性も確保している。

食品廃棄物は包装ごと搬入

センターの作業台で容器と中身を分別

容器から出され、製造ラインに

腐敗した果物もセンターで選別

リサイクル率向上と省エネの工夫

飼料化導入後、野菜・果物くずに加えて惣菜・ベーカリーのリサイクルも行うようになったため、リサイクル率は大幅に向上している。組合ではさらなるリサイクル率向上を目指している。また、センターでは店舗から出る廃油を活用したボイラーやSVO(ストレートベジタブルオイル)を燃料とするコジェネレーション発電機(電力と排熱を供給するシステム)を導入し、施設内で使用する電気をほぼ100%まかなっている。液状飼料の加熱工程や洗浄などに使用する温水も発電の際に出る排熱を利用。省エネに対するさまざまな工夫が凝らされている。

こうした工夫によるランニングコスト削減や食品以外の廃棄物のリサイクルへの取り組みから廃棄物処理事業全体での黒字化に成功し、飼料化事業を安定して継続する体制がとれている。

SVOを利用した
発電・熱利用の説明パネル 

他のリサイクルへの取り組みで
コスト負担を軽減

 

みやぎ生協リサイクルセンターの全体フロー

(みやぎ生協HPより)

この事例の評価ポイント

・店舗からの回収からリサイクルまですべて自社で行うというしくみが構築されている。

・飼料化だけでなく、ダンボールやプラスチックなどの資源化を行うなど廃棄物全般の取り組みの一環として行うことで、飼料化によるコスト負担を軽減できている。

・廃油を活用したエネルギーやコジェネレーション発電の導入など、環境全般に対して配慮が行き届いている。

導入を目指す事業者へのアドバイス

・この事例は、廃棄物処理法の基本理念である「排出者による自己処理」を実現。これを手本として同様の事業者が増えていくことが望まれている。

・廃棄物全般の観点から食品リサイクルと飼料化を導入することで、排出者の負担を軽減できる可能性がある。

農林水産省生産局

平成27年度エコフィード増産対策事業
食品残さ等飼料化分別普及体制構築事業