「飼料化」実践実例

CASE5
自治体のモデル事業を利用して
「リバース物流」の仕組みを構築
外食産業 D社

独自容器を開発し、リバース物流を実証試験から事業化

レストラン事業などを全国で展開するD社はリバース物流を構築し、食品リサイクル法に基づく再生利用事業計画(リサイクルループ)として、平成24年2月20日に国(厚生労働省・農林水産省・環境省)から認定された。

レストランから出る食品廃棄物のリサイクルを導入を検討していたD社で、まず課題となったのがその収集だ。各店舗には食材が毎日配送されており、その配送事業者E社から「帰り便」を使って食品廃棄物を収集できないかとの提案を受けた。しかし、通常、食材を配送するのと同じトラックでの食品廃棄物の配送は、廃棄物処理法や衛生面から問題とされる。そこでD社は地方自治体が募集していた「食品循環資源再生利用事業モデル」に応募。実証試験という位置づけで開始することにこぎつけた。

実証試験にあたっては専用の梱包容器を開発。衛生面を徹底的にクリアしていくことに力が注がれた。帰り便を利用してのリサイクル・ループの実証試験開始から約2年間。保健所や関係自治体からの了解が取れて、事業化への移行に成功する。

リサイクル堆肥で育った玉ねぎを店舗で提供

事業化後、D社では収集の範囲を徐々に拡大。現在では、市内のD社のレストラン店舗のほか、グループ会社のセントラルキッチンやケータリングサービス、高速道路サービスエリアのレストランから発生する食品廃棄物が収集され、リサイクルに当てられている。

食品廃棄物はリサイクル事業者に搬入されて堆肥へと加工。堆肥はE社が経営する畑で利用される。畑で育てられた玉ねぎなどはD社の各店舗で消費者に提供されている。

配送トラックに容器を積み込む

この事例は食材の配送トラックが帰りは空(カラ)になるという発想からスタートしている。利用できるものを無駄なく利用するということで、一見簡単に取り組めそうに思えるが、法律上での規制をクリアにすることや衛生面への配慮が必要となる。そうしたさまざまな問題を解決して事業化を実現した好事例である。

この事例の評価ポイント

・配送車両の戻り便を使うことで新たに専用の回収車両を走らせる必要がなく、コスト削減に努められる。また、CO2の削減の観点からも有効である。

・再生利用事業計画の認定を受けたり保健所への確認を取ったりすることで、コンプライアンス上の課題や食品衛生上のリスク対策に配慮しながら進めている。

導入を目指す事業者へのアドバイス

・再生利用事業計画の認定を受けることで廃棄物処理法上の特例措置が認められ、収集運搬が効率的に行える。食品リサイクルループの構築を検討しましょう。

・配送車両を用いて食品廃棄物の収集に取り組む場合には、食品衛生上の観点からも検討することが必要。

農林水産省生産局

平成27年度エコフィード増産対策事業
食品残さ等飼料化分別普及体制構築事業