「飼料化」実践実例
CASE3
「リサイクルポーク」の提供で、
「エコホテル」としてのブランドを確立
スーパーホテル・名古屋駅前店
地域の他の企業と連携してリサイクル・ループを構築
全国で100店舗以上のビジネスホテルを展開するスーパーホテルの名古屋駅前店(以下、スーパーホテル)ではリサイクル・ループで飼育された豚肉を朝食に提供し、評判を呼んでいる。
スーパーホテルではバイキング形式で朝食を提供しているため、一定量の食品廃棄物が発生する。その量は年間約3.6トン(2014年度)で事業者の単店舗とすれば取り立てて多い量ではない。単店舗でリサイクル・ループに取り組んでいくことは課題も多い。しかし、地域の他の事業者と連携していくことで、それを実現。2011年に「エコファースト企業」の認定を受け、名古屋地区の他のエコファースト企業と連携することで、食品リサイクルと飼料化に取り組んでいる。
宿泊客も参加してリサイクルを推進
朝食バイキングで出たロスや客の食べ残しなどは、リサイクル業者から提供されている専用ボックスで保管される。食品廃棄物は毎日、収集運搬業者が回収。飼料化事業者で加工され、その飼料を使用する養豚事業者の豚をスーパーホテルが購入。2014年から朝食バイキングの食材として使用している。
宿泊客にも食品リサイクルに一役買ってもらっている。食品廃棄物とその他のゴミを分別しやすくするための表示をわかりやすく設け、スタッフが随時状況を確認。さらに、バイキングで料理がどのくらい残ったかを計量。そのデータは本部に送付され、食品ロスを極力削減していく努力も行われている。
収集運搬費やリサイクル費など、食品リサイクルには費用が発生する。しかし、スーパーホテルでは環境に配慮した経営を行うことは企業としての果たすべき責任と考えて取り組んでいる。こうした取り組みは環境貢献に敏感な宿泊客の心をつかみ、結果として「エコホテル」というブランドをスーパーホテルにもたらしている。
スーパーホテルでは地域の他の事業者と連携することで、食品リサイクル専用車両のルートを確保。また、食品廃棄物が一括して飼料化事業者に収められることで、一定量の飼料の原料を提供するという一端を担っている。単店舗でも地域社会との連携がうまく図れればリサイクル・ループが構築できるという好事例である。
スーパーホテルでのリサイクルループの流れ
この事例の評価ポイント
・単店舗での食品廃棄物は少量にとどまるが、それを無視せず食品リサイクルへの取り組みを検討。地域で行われている食品リサイクルのルートに便乗することで、少量でも食品廃棄物の飼料化を可能にしている。
・宿泊客にも分別に協力してもらう工夫を凝らすことで、食品リサイクルの重要さを広める役割も担っている。
導入を目指す事業者へのアドバイス
・単体では難しい場合、他の事業者と共同での食品リサイクルの方法を検討してみるとよい。
・飼料化への取組みなど、環境面に配慮した取り組みを顧客に伝えていくことも企業価値を高めることにつながる。
農林水産省生産局
平成27年度エコフィード増産対策事業
食品残さ等飼料化分別普及体制構築事業