「飼料化」実践実例

CASE1
廃棄物量のデータ化と従業員教育の徹底で、
ショッピングモールでもリサイクルを「習慣化」
ユニー株式会社

各テナントの廃棄物量を把握するシステムを構築

廃棄物を計量機に載せる


排出場所と内容物をバーコードで読み取る


「どこから」「何が」「どれくらい」
排出されたかが記録されたラベル


計量した廃棄物は、きれいに清掃された
廃棄物庫内の容器に保管

中部・関東地方を中心に約220店舗の総合小売店と食品スーパーを展開するユニー株式会社(以下ユニー)。ユニーでは食品スーパーだけでなく、大型ショッピングモールでも食品残さのリサイクルを積極的に導入している。

2003年度から「廃棄物計量器」を各店舗に設置し、排出されるすべての廃棄物を分別計量している。ショッピングモールでは廃棄物庫入口にオンラインの計量器を設置。各テナントにコードを割り当て、バーコードリーダーで廃棄物のコードを読み込んで計量している。

これによって、「どこから」「どんな廃棄物が」「どれくらい」排出されたか、排出場所や内容物が記録できる。記録されたデータはオンラインで本部に転送され、集計・一括管理される。

これで各テナントの廃棄物量を正確に把握。データは各テナントへの廃棄物処理費用の請求に使用される。テナント側にとっては廃棄物の削減と分別を徹底することが、廃棄物処理費用のコスト削減に直接つながるため、意識も高められる。また、このデータはユニー全体で3Rを促進するための方策を検討する際にも活用されている。

「研修」と「実践」で分別意識を統一

テナント従業員への集合教育

さまざまなテナントが入るショッピングモールでは、廃棄物量を把握する以上に難しいのが、実は分別に対する意識の統一を図ることだ。しかし、ユニーでは本社でマニュアルを定め、環境担当社員が直接指導していくことでそれを可能にしている。

ショッピングモールの開店時や新規テナント企業に対しては、ユニー本社の環境担当社員が直接研修を行う。

各テナントの責任者やマネジャークラスに対して行われる講義の内容は、分別の重要性から実際の廃棄物の取り扱いまでさまざま。マニュアルとDVDを活用してケースごと理解を深めていく。研修内容は責任者が各テナントに持ち帰り、従業員に指導を行う。

廃棄物庫


バックヤードでは廃棄物を用途ごとに分別・整理

新店舗オープンの際には、ユニー本社の環境担当社員が直接指導する。実際の現場である廃棄物庫で各テナントの従業員が出す廃棄物を徹底的にチェック。ルールと異なる場合には、その場でていねいに指導していく。どう分別すればよいのか、研修だけでは理解できなかったことを現場で実践することで身につけてもらう。

ユニーではこのように従業員に最初にルールを把握してもらうことで、分別を特別なことでなく「習慣化」することに成功している。

ユニーが実践する「分別徹底」の3ステップ

リサイクルを推進するためには分別の徹底が不可欠。「ルールの構築」「教育体制の整備」「ルールの点検」の3ステップで取り組んでいる。

ステップ1 ルールの構築 どのような「ツール」を使って、どのような「分類」で、どのように「分別」を行うのかを決定。ステップ2 教育体制の整備 リサイクルの意味や意義を、実際に作業する従業員レベルまで理解できるよう指導。 ステップ3 ルールの点検 ルールはきちんと守られているか、常に点検。

この事例の評価ポイント

・各テナントが廃棄物の計量を行うことで、自らの廃棄物量を把握でき、発生を抑制する意識を高めることにつなげられている。

・リサイクル率向上には正しい分別知識が必要だが、教育システムによって、どのように分別したらリサイクルできるかという知識と意識を各従業員が備えられるようになっている。

・分別の品質を維持するための日々の点検やフィードバックが行われていることで、高レベルでの管理が実現できている。

導入を目指す事業者へのアドバイス

・分別した廃棄物を定期的に計量するだけでも、大まかな排出量は把握できる。できることから始めてみるのも一つの手段である。

・どのように分別すればよいか、取り組む前に再生利用事業者と相談し、最もリサイクル率が向上する区分を設定する。

農林水産省生産局

平成27年度エコフィード増産対策事業
食品残さ等飼料化分別普及体制構築事業